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子どもの可能性は無限大だから。保護者にも保育士にも、育児や保育を「楽しい」に変える、サポートをしていきたい。

保育士 大久保 優子(ぽっくる先生) (おおくぼ ゆうこ)

Profile
1987年 千葉県生まれ。2010年 玉川大学・教育学部卒業。大学卒業後は、3年間、幼稚園での幼稚園教諭を、さらに4年間の認可保育園での保育士勤務を経て、2017年4月よりフリーランスの保育士に。現在は、保育やベビーシッター、リトミックの他に、小・中学生の家庭教師、ブログでの情報発信、さらには、保育に関するコンサルタントやメディア出演、記事の執筆、講演など、保育士として幅広く活動中。

待機児童や保育士不足、さらには保育士の過酷な労働環境など、今、保育の現場では様々な問題が浮上し、国や自治体レベルでの制度改善が求められています。今回インタビューした大久保優子さんは、大学卒業後、幼稚園教諭と保育園での保育士勤務を経て、2017年4月よりフリーランスの保育士として活動をスタート。まだまだ柔軟な働き方が広まっていないこの業界において、いち早く、新しい保育の在り方を模索されています。「子どもの楽しい」を引き出すことをモットーに、日々、仕事を行い、親御さんや同じ保育士の悩みにも真摯に向き合っています。そんな彼女に、フリーランスとしての働き方や保育士としての今後について語っていただきました。

 

“教育実習で出会った女の子の一言で、幼稚園教諭を目指すことに。”

―大久保さんは、昔から子どもが好きだったんですか?

もともと子どもにはあまり関心がなくて、特別に好きという感情もありませんでした(笑)。高校時代は具体的な目標を持っておらず、どこの大学を受験しようか迷っていた時に、私の通う高校で、玉川大学・教育学部の大学説明会が開かれました。話を聞いてみると、座学だけでなく、音楽や創作活動、幼稚園・小学校への教育実習などいろんなことが学べて、経済学部や文学部などに行くよりもクリエイティブで楽しそうと思い、玉川大学・教育学部に入学しました。

―では、子どもを好きになるキッカケはなんだったのでしょうか?

大学3年で教育実習があって、私は幼稚園に行きました。そこである時、5歳の女の子2人がケンカを始めちゃったんです……。どちらも譲らず、私もおろおろしてしまって仲裁できずにいると、それを見ていたもう1人の女の子が「もうケンカは終わりにしようよ。このままお家に帰ったら、心の中が気持ち悪いままだよ!今、ごめんなさいが言えたら、明日はキレイな心でいられるよ!」と2人に向かって言ったんです。その時に「子どもってすごい!天使がいる!」と心を動かされました。こんな奇跡のような出来事が毎日起こるなら、絶対に素敵な仕事に違いないと思い、大学卒業後は幼稚園教諭になることを決めました。

“人間関係、過酷な労働環境。幼稚園教諭時代は、子どもと純粋に向き合えていませんでした。”

―幼稚園での仕事はいかがでしたか?

幼稚園では3年間勤めるのですが、かなりキツかったですね。朝は先輩より30分前には園に行って掃除や準備をしなければいけない。園が始まれば、20人〜30人の子どもたちを、14時までほぼ休憩なしで1人で見るんです。昼食時間なんて5分くらいしかありませんでしたね……。子どもの世話は大変、先生同士の人間関係にも気を遣う、保護者からのクレームにも対応しなきゃいけない。肉体的にも精神的にもボロボロ……。自分のことで精一杯になってしまって、子どもと純粋に向き合うことが徐々にできなくなっていき、結婚を機に退職しました。

―その後はどうされるのですか?

幼稚園退職後は、保育士として保育園で働くんです。幼稚園という職場自体はストレスフルな場所でしたが、子どもに罪はありません。忙しい中でも、やはりいろんな感動を私に与えてくれたのは事実です。また幼稚園教諭をしていた頃から「保育士不足」という言葉をよく耳にするようになり、これから共働き世帯がどんどん増えていくにあたって「保育士」は0歳児の子どもからお世話をすることができるので、より多くの家庭を助けられるのではないかと思ったんです。

―そもそも「幼稚園教諭」と「保育士」の違いはなんなのでしょうか?

資格が違いますね。幼稚園は幼稚園教諭免許、保育士は保育士資格という国家資格が必要です。また幼稚園の管轄は文部科学省であり、学校という扱い。それに対し、保育園は厚生労働省が管轄で、学校というよりは、福祉寄りの立ち位置になります。また対象となる子どもの年齢も異なります。幼稚園は3歳からで、基本的な開園時間はは9時〜14時までと決まっています。保育園は、0歳児からお世話をすることができて、6、7時〜20時、21時までと、夜間保育があるので、長時間対応しているんです。

“ただ見守るだけじゃない。保育士は、子どもの成長を促すキッカケをつくる大切な仕事です。”

―「保育士」の仕事内容についても教えてください。子どもの世話をするくらいしか思い浮かばないのですが……。

食事や排泄、着替えなどの補助はもちろん、生活や遊びを通して基本的な生活習慣や社会性を身に付けていけるようにします。ただ単にあずかって遊ぶだけではないんです。子ども一人ひとりの発達を考慮して保育計画を作成し、保育を行います。毎日の活動は、保育指針というものに基づいて設定していますよ。

例えば、公園で遊ぶ場合も、適当に「遊んでおいで」と言うのではなく「鬼ごっこをしよう」と提案したら、その鬼ごっこの中で子どもの何を伸ばすかを意識した働きかけをします。友だちと一緒に遊ぶ楽しさ、ルールを守る大切さ、一生懸命走り、運動能力を伸ばすことやケンカを自分たちだけで解決することなど、鬼ごっこひとつをとっても色々な力を伸ばせます。ですから、保育士が行う活動や、子どもにかける言葉には、すべてに意図が込められています。

―他にもありますか?

あとはピアノやダンスの練習、裁縫、行事の企画に会場の設営、さらには保育計画などの書類作成と、保育士の仕事は多岐にわたります。保育士同士や保護者の方とのコミュニケーションも重要ですね。

“フリーという柔軟な働き方を選択することで、親御さんへの支援がもっとできると思ったんです。”

― フリーランスになる転機はなんでしたか?

保育園では「あの子が初めて立った!」「優しい言葉をかけてくれるようになった!」「〇〇ができるようになった!」など、子どもの成長を毎日見ることができて充実感を持って仕事ができていました。一方で、ハードワークであったり、待遇が低かったりと、この業界に対しての不満があったのも事実です。

―やはり、昨今問題になっている部分でフラストレーションがあったのですね。

そうですね。あとは保護者の方を見ていて、もっと助けられる存在になりたいと思ったことも大きかったですね。仕事をしながら子育てをする親御さんの中には疲弊している方も多くいらっしゃいます。都市部だと頼れる人も周りにおらず、育児ノイローゼやウツなど精神を病んでしまうお母さんもいます。

でも保育園で雇われている立場だと、保育園の外で子どもの面倒を見たり、家庭での生活サポートは基本的にはできません。ですから、私自身が、もっと柔軟に対応できるようになりたいと考えるようになっていき、4年勤めた保育園を辞めて、2017年4月にフリーランスの保育士として活動を始めました。

“ストレスゼロのフリーランス。今は、子どもに対して、100%の気力と体力で向き合えています。”

―フリーランスとして仕事を得るために、どのような行動を取られたのですか?

「仕事を得なくちゃ!」と変に意識したことはないんです。やりたいことをやっていたら、仕事が生まれていった感覚。保育士のスキルを深めたくて、たまたま受講したリトミック講座で、ある先生と出会い、その方と一緒に定期的にお仕事をさせていただくようになったり、「自分が学んだことを他の保育士さんに広めたい」という思いで始めたブログから、保育に関するライティングやメディアへの出演、講座の依頼など、いろんな仕事が生まれているので、楽しいです。ご縁ですね。

―お子さんの面倒を見るというお仕事は減っていった感じでしょうか?

いえいえ、そんなことはありませんよ。ベビーシッターのマッチングサイトがあるのですが、それに登録しています。あらかじめ空いている日時を登録しておくと、依頼が来ます。指定の時間にご自宅に伺い、お子さんのお世話をしています。最初は新規の方ばかりでしたが、段々、リピートしてくれる親御さんが増えてきています。とくに、リピーターになってくれている親御さんとは、育児の悩みについて相談に乗ったり、何気ない会話をしたりと、シッティングだけでなく、親御さんの助けにもなっている実感があるので、フリーになった目的がひとつ達成できて嬉しいですね。最近は、保護者在宅でのシッティングも多くなりました。

―なるほど。では保育を軸にいろんな活動をされているのですね。

はい。ベビーシッターが週2〜3日程度。リトミックは週1日、さらに小中学生を相手に家庭教師もさせていただいています。あとはブログを通して、保育に関するさまざまなお仕事の依頼がくるようになりました。忙しくはしているのですが、保育園で働いていた頃に比べると、仕事量は半分くらいです。というか、仕事という意識がないので、今は、毎日仕事が楽しくて仕方ありません。ストレスがゼロなので、子どもとも100%の状態で向き合えています。毎日、全力です(笑)。

“シッティング中のトラブルで、フリーランスの保育士としての責任の重さを痛感しました。”

―幼稚園や保育園に勤務されていた時と比べて、仕事のスタンスに変化はありましたか?

フリーランスという立場は、子どもに対しての責任がすべて自分にふりかかります。それを強く感じた出来事があって、ベビーシッターの仕事中に、子どもがケガをしてしまったんです。ちょっと目を離した隙に、家具を倒してしまい、目の横をぶつけてしまって……。保育園時代の経験を活かして処置ができたので、大事には至らなかったんですが危ないところでした。保育園であればケガをしても、近くにいる先生や看護師さんにすぐに相談できます。しかし、個人の場合は、子どもの命は私ひとりにかかっている。それ以来、子どもをおあずかりする際は、より一層、気を引き締めるようにしています。

“「楽しい」という感情を多く引き出すことで、子どもは、人間として豊かな心を育んでくれます。”

―他に、子どもをあずかる時に心がけていることはありますか?

子どもに最高の「楽しい」と「学び」を提供すること。部屋で見守るだけなら誰でもできますよね。保育時間の中で、年齢やその子の好みに合わせて活動を考え「もっとやりたい!」と好奇心を引き出していきます。「楽しい」は「好奇心」につながり、「好奇心」は「学び」につながります。「楽しい」は子どもの脳を活性化してくれるので、その感情をなるべく多く引き出してあげたいですね。

―大久保さんがあずかった子どもには、どのように成長して欲しいですか?

小中学生を相手に家庭教師をしていて思ったのですが、幼児期は毎日楽しく暮らしている子どもたちも、小学校高学年や中学生くらいになると、いじめが起こったり、不登校になったりと、悩みにぶつかってしまう子が多いです。そんな子たちを見ていると、小さい頃から、自分自身を肯定することと、他者を肯定すること、この2つの気持ちを育んでくれたら良いなと考えています。そうすることで、大人になっても、豊かな心を持って、人生を充実させられると思うんです。

“保護者と保育士に寄り添える人間になりたいです。”

―今後、大久保さんはどんな保育士を目指していきますか?

先ほども言ったのですが、子どもはもちろんですが、保護者に寄り添える保育士になりたいです。親の幸せがあってこその、子どもの幸せです。ですから、保護者の方の声に耳を傾けて、育児が少しでも「楽しい」に変わるような働きかけをしていきたいです。

あとは今、待機児童や保育士不足、保育士の待遇の問題や厳しい労働環境など、この業界の問題は山積みです。でも制度的な問題は、私ひとりが動いたところでどうなるものでもないと思っています。でも、働いている保育士一人ひとりの意識を変えることはできるはず。ですから、微力ではありますが、ブログやSNSを通して情報発信することで、少しでも多くの保育士さんの悩みを解決して、何が正しくて、何が間違っているのかを冷静に判断する思考を養ってもらえたら嬉しいですね。私自身、保育園に勤務している頃は、客観的な選択ができていなかったと思うので。

 

◎大久保さんのWEBサイト「保育士ぽっくる先生の“保育の知恵袋”」はこちら
◎大久保さんのtwitterはこちら

 

〈取材・文:寺門常幸(@tera_tsune)/撮影:砂田耕希〉

 

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