アート

こどもたちの生活に溶け込み、こどもたちの記憶にずっと残る作品を目指して。 わたしらしく、楽しんで描いていきたい。

絵本作家 加藤 令子 (かとう れいこ)

Profile
1992年 埼玉県生まれ。2013年 日本美容専門学校卒業。同年、恵比寿にあるヘアサロンに入社。1年間のアシスタント勤務を経て退職。その後、絵本作家の道へ。「絵本は親子の時間を幸せにし、こどもの心を豊かにするもの」をモットーに、現在は東京・自由が丘にあるカフェに勤務しながら絵本づくりに励んでいる。

こどもの想像力を膨らませ、感性を刺激する、最高のアイテム。それが、絵本。美容業界から絵本作家の世界に飛び込んだ、加藤令子さんも、こどもに与える絵本の可能性に惹かれたひとりです。「親子の時間を幸せにしたい」「こどもの心を豊かにしたい」という想いをもって、日々作品づくりに励む加藤さんに、絵本づくりの魅力と作家としての夢について取材しました。

 

 “「絵を描くことで、こどもたちを楽しませたい」。その思いを抑えることができなかったんです。”

―いつから絵本作家を志したのですか?

小さい頃から絵は大好きで、暇があっては描いているような子どもでした。でも、中学生くらいになると、大きな理由はないのですが、なんとなく描かなくなってしまったんです。オシャレやヘアアレンジに目覚めたこともあって、高校卒業後は美容専門学校に進みました。そこでデッサンの授業があったのですが、先生に褒められたり、優秀者に選出されることが多々あって、忘れていた絵を描く楽しさを思い出したんです。

でも、専門を卒業して美大に通うのも親に申し訳なかったので、美容室に就職。美容室では、お客さまがお子さんを連れてくることもよくあったので、そんな時はアシスタントであるわたしが、こどもの面倒を見ていたのですが、その時間がとても楽しくて。それで、日に日に子どもに関わる仕事がしたいという思いが強くなり、いろいろ考えていく中で、大好きな絵を描くことで、こどもたちを楽しませることができるんじゃないかと思い、絵本作家を目指すようになりました。

 

“日常の中にある幸せを感じ取ること。そして、好きなモノゴトを把握することで、感性は磨かれていきます。”

―今はどうされているんですか?

自由が丘にあるカフェで働きながら絵本作家の活動をしています。そのカフェが「自分の生活のちょっとしたことでも幸せを感じよう」というコンセプトで経営しているのですが、わたし、その考え方がとても好きなんです。部屋に生花を飾って、そのお花が生きている時間を共有するとか、コーヒーをミルで挽いて香りや味を楽しんだりとか、日常の中にある何気ない時間を大切にすることで、心って豊かになるんだなって気づいたんです。

気持ちにも余裕が生まれたおかげか、カフェで働いてから絵本の方向性も大きく変わりました。それまでは「上手に描かなきゃ」という意識が強かったのですが、輪郭から色がハミ出すのも味だし、ときには雑に色を塗るのだって個性だしと思えるようになって、現在は表現がより自然体になりましたね。

―自分の作品の方向性が見えてきたという感じでしょうか?

そうかもしれません。徐々にではありますが、描きたいものがわかってきたというか。自分の好きなコトやモノを把握することって大切だと思っていて、それが曖昧なままだと、作品もぼやけたものになってしまい、伝わらないと感じています。作家として個性がある人って好みがはっきりしていると思いますし。ですから、ふだんから自分の中に湧き出る「かわいい!」や「いいな!」といった感情を見逃さないようにしています。そうしたことに意識を向けながら、今は、次のコンテストに向けて、わたしの現時点の集大成となる作品づくりに励んでいます。

“こどもたちの記憶に残る一枚を描くことに、全力を注いでいます。”

―制作プロセスについても教えてください。

わたしがこどもの頃に親に絵本を読み聞かせしてもらっていた時って、「文章」を追うよりも「絵」を楽しんでいたんです。それが影響しているのかはわかりませんが、わたしの場合、ストーリー重視というよりは、まずは絵をどうするかを考えます。ああでもないこうでもないと思考をぐるぐるさせながら、なんとなく浮かんできたイメージを「絵」というカタチに落とし込んでいきます。とにかく一枚のビジュアルを完成させることにエネルギーを注ぎます。この作業は自分が納得するまで時間をかけますね。「よしこれでいこう!」という一枚が完成したら、その絵から派生させて何枚も描いていき、それに紐づいた物語を文章化していくという流れです。

 

―印象に残る絵を作ることに注力するんですね?

オチがあるような展開の面白い絵本も世の中にはたくさんありますが、そういう作品って何度か読んだら、読まなくなってしまうことが多い気がするんです。でも「あのページの絵が好きだな」とこどもたちに思ってもらえたら、大人になってからもその記憶って消えないと思うんです。ジブリのアニメがまさにそうだと思うんですけど、例えば天空の城ラピュタで、シータとパズーがトーストに目玉焼きをのせて食べるシーンって、とても美味しそうで印象的じゃないですか。あのような時代を越えても色あせない、記憶に残る一枚が描けたらなって考えています。

 

“こどもの教育ツールではなく、純粋に物語を楽しんで欲しいと思っています。”

―加藤さんの絵本に対する思いも聞かせてください。

大人が楽しめる作品もたくさんありますが、基本的に絵本ってこどものためのものだと思っていて、さらにこどもが一人で楽しむというよりは、親がこどもに読んで聞かせて、「親子の時間」のために使われるものであってほしいと思っているんです。しかも、数字や語学を覚えるという教育目的で使ってほしくないとも、個人的には強く思っています。

絵本を通して賢くなってほしいといった打算的な思いが親側に働いてしまうと、こどもは純粋に絵本を楽しめなくなってしまうと思うんです。絵本を嫌いになってほしくないです。やっぱり絵本は、こどもの想像力を無限に膨らませることができたり、こどもに安らぎを与えられる素敵なものだと思うので。

―最後に今後の目標もお聞かせください。

わたし、最終目標は決まっているんです。それは「わたしの作品をこどもたちの生活の一部に溶け込ませたい」ということです。こどもが朝起きて、顔を洗って着替えて、ご飯を食べて、幼稚園・保育園に行って、帰ってきて、遊んで、ご飯を食べて、歯を磨いて、絵本を読んでもらって、寝る。そして次の日を迎える。そんなこどもたちの生活サイクルに、わたしの絵本が入り込めるように、これかもとにかく楽しんで絵を描いていきたいですね。

 

〈取材・文:寺門常幸(@tera_tsune)/撮影:宇佐美亮(@usamiryo)〉

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