ビューティー

感性を磨き、探求心を忘れない。そして、求められるイメージの中で、自分の「色」を出していく。

ヘアメイクアップアーティスト 原田 聖子 (はらだ せいこ)

Profile
1986年 高知県生まれ。2007年 倉敷市立短期大学・服飾美術学科卒業。2009年 高知理容美容専門学校卒業。専門学校卒業後 高知のヘアサロンにて美容師として4年間勤務。2013年 大手化粧品メーカーのメイク学校に1年間通う。2014年 東京にてヘアメイクのアシスタントを2年間つとめた後に、2016年 29歳の時に、ヘアメイクアップアーティストとして独立。現在はビューティー、ファッション、アーティストなど幅広いジャンルで活動中。求められるオーダーの中で、自分の「色」を出すことをモットーとしている。

雑誌や広告、テレビや映画、ショーやブライダルの撮影現場で、美を司る職業、それがヘアメイクアップアーティストです。クライアントの求めるイメージに合わせて、モデルにヘアアレンジとメイクを施していくこの仕事には、豊かな想像力や表現力、そして流行を捉えるセンスに、時間内に仕上げるスピードなど、様々なチカラが必要となります。2016年にヘアメイクアップアーティストとして独立した原田聖子さんは、ファッション、ビューティー、アーティストなど、幅広いジャンルで活躍されています。バイタリティあふれる彼女に、ヘアメイクのお仕事についてインタビューしました。

 

“高知にいた頃は、美容師を一生の仕事にするつもりでした。”

―最初は美容師をされていたんですよね?

そうなんです。短大と美容専門学校を経て、私は、地元高知の美容室に就職しました。美容師の仕事自体はとても楽しかったです。自分のスキルでお客さまが喜んでくれて、「他の人じゃダメです」と言っていただいた時なんかは、疲れなんてふっとんでしまうし、お客さまと会話しているだけで、元気をもらえていました。当時は、美容師を一生の仕事にしたいと思っていました。

― ヘアメイクに興味を持つキッカケはなんだったのですか?

お客さまの成人式や結婚式、そして美容室の作品撮りの際に、メイクをする機会があるのですが、いざメイクをするとなった時に専門的な知識が乏しいなと感じたんです……。不安になったといいますか。専門学校でも本当に基本的なことしか教えてもらえていなかったので、一度、プロのもとできちんと学びたいと。それで、東京の大手化粧品メーカーが主催するメイクの学校に1年間通うことにしました。最初は1年間勉強したら、東京の美容室に就職して、美容師に戻るつもりでいたのですが、そのことを学校の先生に伝えたら「あなたはヘアメイクに向いているから、絶対やった方がいい」と言われたんです。

― どんな部分が向いていると思われたのでしょうか?

どうでしょうか。私、人が好きで、壁を作らないし、人見知りもしない。あとは、空気が読める感じとかは、アシスタントとして使い勝手がいいと思われたのかもしれませんね(笑)。

 

 

“大変だったアシスタント時代。それでも何千、何万人に、自分の仕事を届けられる部分に惹かれていきました。”

―メイク学校を卒業した後のことを教えてください。

ヘアメイクとして一人前になるためには、まず師匠を探して、その方のもとで数年はアシスタントとして働くのが一般的です。師匠は、私の好きな雑誌のメイクの仕事をされていて、この方のもとで働いてみたいと思って、2年間アシスタントにつきました。でもこの時代は、キツかったですね(笑)。ヘアメイクのアシスタントって、ギャラは出ないのが当たり前。交通費がもらえれば、まだマシという感じなんです。ですから、ちょっとでも時間が空いたら、美容師の業務委託の仕事をして生活費を工面していました。休みはほとんどありませんでしたね。

―それだけ大変な思いをされて、辞めるという選択肢はなかったのですか?

しんどかったですけど、不思議と辞めたいとは思わなかったんです。性格上、あきらめるのが嫌というのもあるのですが、ヘアメイクの世界は人間関係でまわっているので、一度、中途半端に辞めてしまうと、戻りにくいんですよね。だから頑張ろうと思いました。あとは、アシスタントをするようになって、ヘアメイクの面白さに気づいていったというのもあります。自分が関わったものが広告や雑誌に載ることが単純に嬉しかったんです。美容師だとお客さまと1対1の関係性ですけど、ヘアメイクだと、何千、何万の人に自分の仕事を届けられるので、それは素敵だなと思って。

“独立後は、ヘアメイク同士のつながりから、仕事が生まれていきました。”

―2年後、晴れてヘアメイクとして独立されるのですね?

そうですね。私が仕事の合間を縫って作った作品集、いわゆるブックというものを師匠に見せて、合格をいただき、アシスタントを卒業できました。29歳の時です。

―お仕事はどのように発生するのですか?

独立してすぐの頃は、ブックを持って出版社などに売り込みに行っていましたね。でも、ブックを見せて仕事が来るということはほぼなかったです……。先輩のヘアメイクさんが忙しくされていてキャパオーバーだからと、その仕事を振っていただく。そういった、ヘアメイク同士のつながりから、お仕事をいただくことが多いですね。

“ファッション、ビューティー、アティーストと、幅広くヘアメイクの仕事をさせていただいています。”

―そもそもヘアメイクというお仕事は、どのようなことをされるのでしょうか?

広告や雑誌の撮影現場に赴き、モデルさんやタレントさんの髪のセットとメイクをします。もちろん自由にやるわけではなく、クライアントさんの要望をお聞きして、撮影までの限られた時間内に求められたトーンやテイストにしていきます。あと、ネイルとボディケアも行います。肌が露出しているところすべてをケアするのが役割ですね。

―どんなジャンルのお仕事をされていますか?

私はファッション、ビューティー、アーティストといったジャンルの仕事をさせていただくことが多いのですが、それってかなり珍しいタイプなんです。ヘアメイクの世界って、かなり細かくジャンル分けされていて、ファッション界隈で有名なヘアメイクさんもビューティーでは「誰?」みたいな感じになることが普通なんです。

ビューティーとファッションではメイクのテンションや作り方がまったく異なるので、考えてみれば当たり前なんですけどね。でも、それってアシスタントになる前はわからないじゃないですか。私は師匠がたまたま幅広く仕事をしていたので、そうなりましたけど、もしこれからヘアメイクを目指される方がいたら、師匠となる方がどんなジャンルの仕事をしているかは気をつけてください。

 

 

“オーダーされる範囲内で、自分の「色」を出すことは、大切にしています。”

―原田さんが仕事をされる中で、心がけていることも教えてください。

クライアントさんが求める範囲内で、自分の色を出すということですね。例えば、すごくナチュラルなメイクをお願いされた時に、いかに肌をきれいに作るか、いかに眉を自然に描くかなど。自分なりにポイントを決めて、そこが際立つように表現することを意識しています。

あとは、ヘアメイクの仕事は、つねに時間との勝負です。限られた時間の中で、100%、120%のメイクに仕上げられるかどうかが勝負になってきます。誰も待ってはくれません。時間が少しでも押してしまうと、現場の空気が悪くなったり、モデルさんのテンションも下がってしまうので、時間は厳守するようにしています。

―他にもあれば教えてください。

流行の中にある仕事なので、私自身の感性が古くなってしまったら終わりという危機感は持っています。だからふだんから情報収集は怠りません。雑誌やネットはもちろんですが、機会があれば海外のコレクションに参加して、次に来る流行を掴むようにしています。あとは、ユーチューバーのメイク動画なんかも参考にしていますね。ユーチューバーの方って定石から外れたメイクを普通にするので「え、こういう手順でやっちゃうんだ!」みたいな発見があるんです。私の固定概念を覆してくれることも多々。表現の引き出しを増やすにはぴったりなんですよ。

―今でも練習はしますか?

もちろんしますよ。自分の技術にはまだまだ伸びしろがあると思っているので。自宅にはウィッグが出してあるので、毎回「今日の現場では何が足りなかっただろう」と考えながら、練習しています。ここまで来て、まだ練習しなきゃいけないのかと、たまに思ったりもしますが、そういうモチベーションがなくなってしまったらダメだと思うので。あと、単純に髪の毛を触っていると落ち着くっていうのもあるんですけどね(笑)。

 

 

“現場のメンバー全員が思いを共有し、ひとつの作品を作り上げた時、感動が待っています。”

―ヘアメイクをしていて、やりがいを感じるのはどんな時ですか?

やっぱりいい作品ができた時は嬉しいです。現場ではいろんな人が関わっています。カメラマン、照明、スタイリスト、クライアント、編集者など。それぞれが力を出して、意思を共有し、ひとつのものを作り上げます。だから、ヘアメイクの私一人がどんなに良かったと思っても成功にはならないんです。撮影が終わった時に「今日の撮影、すごく良かったね」「いいものが作れたね」という空気に包まれた時は、幸せな気持ちになりますね。

―これからもヘアメイクのお仕事は続けていきますか?

今、とても充実しているんです。毎日、違う現場に行って、違うメンバーと仕事をするって、独特だと思うんですけど、それが私には性に合っているし、一期一会の出会いの中で、良いものを生み出すことは刺激的です。ですから、これからも続けていきたいです。もう他の仕事はできないと思いますね(笑)。

 

 

“目の下のくまを瞬時に隠せる、「THREE」のオレンジとイエローのコンシーラーは使えます。”

―最後に原田さんおすすめのメイク道具も教えてください。

「THREE」のオレンジとイエローのコンシーラーは、かなり使えると思います。一般の人はあまり買わない色だと思うのですが、この2色は割と薄づきなので、自然に目の下のくまをカバーしたり、赤みをちょっと明るくしたりするのに使えます。人はみんな肌の色にムラがあるので、それを色補正してくれるんですよ。寝不足などでくまが出た時に、最初にオレンジを塗って、その上にイエローを重ねると、一気にくまが消えますよ。

 

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〈取材・文:寺門常幸(@tera_tsune)/撮影:宇佐美亮(@usamiryo)〉

 

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