Cafe&Dining Dongkang オーナー

ふたりで一人前だから。どんな時も力を合わせて、美味しい料理と明るい雰囲気で、地元の憩いの場をつくっていきたい。

Cafe&Dining Dongkang オーナー マデ & 秋山由紀 夫妻 (マデ & あきやま ゆき)

Profile
イ・マデ・ウィディヤ・アドニャナ:
1978年生まれ。インドネシア出身。19歳の時にインンドネシアにある外資のリゾートホテルにパティシエとして勤務。21歳で沖縄県・石垣島のホテルに異動。そこで由紀さんと知り合い結婚。結婚後は、京都にある大手外資系ホテルに1年間勤務の後、由紀さんの地元、神奈川県・横浜市に移住。2014年Cafe &Dining Dongkangをオープン。

秋山 由紀:
1980年生まれ。神奈川県・横浜市出身。短大卒業後に、食品関係の商社に勤務。その後、マデさんも勤めるリゾートホテルに転職し、ホテル内のBARやレストランの食材調達などに従事。マデさんと結婚後、2014年から現在までマデさんとふたりでドンカンを営んでいる。ドンカンの接客、マネジメント担当。

Cafe & Dining Dongkang:
神奈川県 横浜市 中区 新山下3-13-24 [TEL]045-623-7771[OPEN]11:00〜21:00(20:30ラストオーダー/日曜定休)

神奈川県・横浜市、元町・中華街駅からゆっくり歩いて20分ほどのところにある「Cafe&Dining Dongkang」。そこは、インドネシア人のマデさんとマデさんの妻・由紀さんが切り盛りしているアットホームなお店で、料理の美味しさと雰囲気の良さから、2014年のオープン以来、地元の方に愛され続けています。マデさんと由紀さんともに大手外資系ホテルで勤務していた経験があり、マデさんは料理、由紀さんは接客と、それぞれがプロフェッショナル。今回はお店にお邪魔して、おふたりの出会いから、お店を開くまでのこと。さらには、お店の自慢に、今後の夢などについてお伺いしました。おふたりは終始笑顔でお話ししてくださり、わずかな時間でも仲の良さがひしひしと伝わってきました。取材後、マデさんが振舞ってくれた、Dongkang(以下ドンカン)自慢のナシゴレンは、お世辞抜きに美味しくて、これしか頼まない常連さんがいるというのも納得でした。

“石垣島にあるリゾートホテル勤務時代に出会いました。”


―まずおふたりの馴れ初めをお聞かせください。
ユキさん:
子どもの頃の話になるのですが、うちの家族は全然、外食をしなかったんです。どんな時も母親が料理を作ってくれて、今思えば、とてもありがたいことなんですけど、当時は、学校の友だちがどこどこのお店に食べに行ったというような話を聞くと羨ましかったですね。なので、飲食店には昔から憧れを持っていて、高校や短大時代も、飲食店ばかりでアルバイトしていて、将来は、自分のお店を持ちたいと夢を抱きながら生活していました。

短大卒業後は、食品関係の商社に数年間勤めるのですが、休暇で沖縄・石垣島に旅行で訪れた時に宿泊したリゾートホテルのサービスが素敵で、ここで接客や商売などを学びたいと思い、商社を退職してそのホテルに勤めることにしたんです。そこで、インドネシア人であるマデさんと出会いました。職場恋愛ですね(笑)。

マデさん:
由紀さんと出会ったリゾートホテルは外資でして、僕の故郷であるインドネシアのビンタン島という所にもホテルがあり、僕は最初、そこでパティシエとして働いていたんです。でも何年か勤めた後に、石垣島のホテルに転勤になってしまって……。日本語はわからないし、文化も違うから、最初は戸惑いましたけど、結果的に、由紀さんと知り合えたので良かったです(笑)。

そして、由紀さんからは、ずっと自分のお店を持ちたいという夢を聞いていたので、僕もデザートだけでなく料理も作れるようになろうと思いました。あと、僕らが勤めていたリゾートホテルは世界中で展開しているので、今後、どの国に転勤になるかわからない……。それだと、なかなか家族も増やせないし、安定もしないので、ふたりで話し合って、結婚を機に退職しました。


“横浜に戻り、自分のお店を持つという長年の夢を叶えることができました。”

―リゾートホテルを退職後に、由紀さんの地元・横浜に戻られるのですか?
由紀さん:
いえ、すぐに横浜には戻らずに、京都にある大手外資系ホテルに就職。マデさんはシェフとして働きました。料理を勉強したいという思いからです。でも、とても大変そうでした。というのも、石垣島のリゾートホテルでは、日本語が下手でも、基本スタッフ同士は英語での会話でしたし、上下関係もそこまで厳しくありませんでした。一方、京都のホテルは、キッチン内で怒号が響き渡るようなところで、悪い意味で、職人の世界だったんです。京都の土地柄も、私たち夫婦にはなんとなく馴染めなくて、それで1年経って、横浜に戻りました。

マデさん:
京都は僕たち夫婦にはちょっと合わなかったですね(笑)。横浜に戻ってから、僕は、飲食店でウェーターやアジアンリゾートがテーマのカラオケ店でキッチンスタッフとして働いて、接客や料理の腕を磨いていきました。

由紀さん:
マデさんがいろいろ勉強している間も、自分たちのお店を出すために、テナントを探し回っていました。でも、なかなかいい店舗がなくて……。ちょっと延期しようかと半ばあきらめていた時に、ちょうど息子が入院してしまって、お見舞いの帰りに、たまたま今のお店の前を通りかかったんです。

不動産屋さんが、テナント募集の看板の取り付け作業をしていたのですが、このテナントを見た瞬間にピンと来て、看板をその場で下げてもらい、契約交渉に入りました(笑)。大げさでなく運命を感じました。住宅街ではあるけれど、近くに総合病院があって、スポーツセンターもある、人通りもそこそこにある、しかも勝手知ったる私の地元ということで、「行けるかも!」と思ったんです。

マデさん:
内装の工事を2013年の秋頃に始めて、オープンしたのは2014年の2月。もう5年前。あっという間ですね(笑)。


“お客さまにはいつでも「帰ってきてほしい」。そんな願いを込めて、ドンカンと名付けました。”

―「ドンカン」というお店の名前の由来を教えてください。
マデさん:
お客さんにもよく聞かれるのですが、ドンカンは、バリ語で「カエル」という意味です。店内を見渡すとわかるのですが、カエルのオブジェがたくさんあります。開店当初は、3、4個しかなかったのですが、常連さんがプレゼントしてくれて、いまではたくさんです(笑)。

由紀さん:
付き合っていた頃から、お店の名前は「ドンカンがいいね」と話していました。昔、観光でバリに行った時に、お土産屋さんにカエルのグッズがたくさんあって、バリの人たちの間では、カエルがゲコゲコ鳴くと神様が降りてくるといった言い伝えがあるということを知って、良い言葉だなと思っていたんです。でも後になって、「お土産を売って稼ぎたいだけだよ」とバリの友だちに教えられるんですけどね(笑)。ただ、カエルって、お客さんが「帰ってくる」というような意味にも取れるし、「ドンカン」っていう、ちょっと間の抜けたやわらかい言葉が、私たち夫婦らしくて、合っているなと思ったんです。


“ナシゴレンはおすすめです。一度食べたら、他のお店のものは食べられなくなりますよ。”

―お店の意味を知るとより素敵に感じます。ドンカンの売りも教えてください。
マデさん:
ドンカンはナシゴレンやミーゴレンなどの東南アジア料理に加え、自家製の生パスタやカレー、焼き鳥、さらにケーキなど、バラエティに富んだメニューが特徴です。理想としては「食のセレクトショップ」みたいなお店にしたいんですよね。だから、つねに新しいメニューは開発するようにしています。お客さまにとくに評判がいいのが、ナシゴレン。よくお客さまから「ドンカンのナシゴレンを食べたら、他のお店で食べられなくなっちゃった」という言葉をいただきます。

ナシゴレンのソースにこだわっているんです。市販のものは使わずにサンバルソースというものを手作りしています。このソースには、ニンニク、エシャロット、唐辛子、エビペースト、パームシュガーなどを独自に調合しています。このソースだけ缶に入れて売ってほしいとも言われるんです(笑)。僕も商品化できたらいいなとは思うんですけど、なにせ手作りなので時間がかかるんです。

由紀さん:
あと、ドンカンならではというと、誕生日やイベント用にケーキを承っています。しかもただのオーダーケーキではなくて、ケーキの上にマジパンで、動物や恐竜、アニメのキャラクターなどを描きます。お客さまの要望に応じて絵柄は決められるのでとても好評なんです。見た目では甘そうと感じられるかもしれませんが、ふつうのケーキよりもスポンジが高くて、甘すぎずに、ペロッと食べられちゃうと思います。マデさんはずっとパティシエをやってきたので、その腕をふるえるのがいいですし、絵柄の部分は私がデコレーションするので、ふたりの共同作業って感じで、やっていて楽しいですね。

―由紀さんが接客をする上で、心がけていることはありますか?
由紀さん:
お客さま一人ひとりのニーズを嗅ぎとるようにしています。お店でゆっくり過ごしたい方もいれば、急いで食べて仕事に戻りたい方もいる。だから、料理を出す順番に気を遣いますし、また、年配の方だったら、量を少し減らしたり、塩分に気をつけたりもします。良い意味でお客さまの顔色を伺うようにしていますね。どんなお客さまにとっても、ドンカンが居心地の良い場所になってくれたら嬉しいです。

“ケンカはしょうちゅう。でも、どちらが欠けてもこのお店は成り立たないんです。”

―オープン以来、ずっとおふたりでお店を切り盛りされてきて、難しい部分などありますか?
由紀さん:
石垣島のリゾートホテル時代から、私たちはずっと同じ職場で働いてきました。14年近くずっと(笑)。いまだにケンカもしますし、友だちからも「飽きないの?」って言われるんですけど、もう、そばにいるのが当たり前の存在なので、飽きるとか飽きないという話ではなくなっていますね(笑)。

マデさん:
僕たちは一人前同士で出会って、一緒になって、ドンカンを始めてから、どんどん半人前になっているんです(笑)。オーダーケーキもそうですし、このお店自体もどちらかが欠けてしまっては成り立たないです。だから、ケンカしても、ずっとケンカしっ放しだとお店がまわらないので、いつの間にか仲直りしています(笑)。お互い、健康だけは気をつけないといけませんね(笑)。

―逆にお店を営んでいて嬉しい瞬間はありますか?
由紀さん:
料理をお出しして、「わー!」っとテンションが上がった瞬間を見た時や、オーダーケーキの出来上がりをお見せして喜んでもらえると「よし!」となります。

マデさん:
月ごとに出すパスタがあるのですが、「これ美味しいから、レギュラーメニューにしたら?」とお客さまに言われると嬉しいですね。あとは常連さんが、ずっと同じメニューを注文してくれるのも嬉しいんです。「他のメニューも頼みたいんだけど、ナシゴレンが美味しすぎて」と言っていただけると、やっていて良かったなと思います。

由紀さん:
あと思い出深いエピソードとしては、近くに病院があるので、病院帰りにいらっしゃるお客さまも多いんです。妊婦さんだったあるお客さまが、通院中によく通ってくれていて、無事、出産された後も定期検診がある度に、私たちに赤ちゃんを見せにきてくれていました。さらに、お子さんが保育園に入ると、ママ友たちとランチをしに来てくれたり、ファミリーで食べに来てくれたりと、家族のカタチや人間関係が変化していく中でも、そのお客さまの人生にドンカンが在り続けてくれているので、本当に嬉しいです。できればこれからもずっとドンカンが寄り添えたら、こんなに幸せなことはないと思っています。


“笑顔と美味しい料理で、地元の方の憩いの場として存在していたい。”

―長年一緒に過ごしていて感じる、お互いの良いところはありますか?
由紀さん:
マデさんはとにかく人当たりがいいんです(笑)。誰とでも、すぐに仲良くなれちゃう。彼の笑顔は、敵をつくらないんです。実際、腹の底ではどう思っているかはわかりませんけど(笑)。でも、この笑顔は才能だと思います。


マデさん:
彼女は盛り上げ上手です。お客さんをハッピーにしてくれます。由紀さんに任せておけば、お店は明るくなるので、ありがたいですね。しかも、僕は場が和んできた時に、後から入ればいいので楽チンです(笑)。

―最後におふたりの今後の目標をお聞かせください。
マデさん:
僕はスポーツが好きなので、サッカーやバスケットボール、モトGPなどのスポーツ中継をみんなで楽しみながら、わいわいできる場にしたいですね。プロジェクターがあるので、ゲーム大会なんかをやっても面白いかもしれません。長期的な目標でいうと、もっと経営をしていきたいんです。今は由紀さんとふたりで切り盛りしていますが、ゆくゆくはお店を増やしていきたいですし、僕の料理をつくれる人材も育てていきたいです。

由紀さん:
料理が美味しくてアットホームなドンカンが、もっと地元の人に認知されて、今以上に地元の憩いの場になったら嬉しいですね。気軽に立ち寄れる駄菓子屋さんみたいな感じで。マデさんは、お店を拡大していきたいという目標があるみたいですけど、私はここで、小さく静かにやっていたいかも(笑)。でも、マデさんの夢は応援したいと思うので全力でサポートはするつもりです。マデさんのマネジメントをする人が必要ですし、それに私たちは、ふたり揃って一人前ですからね(笑)。

 

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〈取材・文:寺門常幸/撮影:宇佐美亮〉

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