• HOME
  • 記事を読む
  • アート , 美術家
  • 観てくれた人に幸せな感情を抱いてもらうこと。そして、刺繍を通して、「絵」と「人」との素敵な出会いをつないでいきたい。
アート

観てくれた人に幸せな感情を抱いてもらうこと。そして、刺繍を通して、「絵」と「人」との素敵な出会いをつないでいきたい。

美術家 浅間 明日美 (あさま あすみ)

Profile
1977年 岩手県生まれ。2000年 駿河大学・法学部卒業。大学卒業後は、セツモードセミナー研究科、AIT(アーツ・イニシアティブ・トウキョウ)アーティストコースなどでイラストレーションを学ぶ。2014年より美術家として本格的に活動をスタートさせる。「刺繍」というオリジナリティある表現手法で、数々の作品を制作し、個展を精力的に開催。受賞歴も多数。
[主な個展・活動]
2015年 テラダ倉庫 ART STAND EXIBIHION 参加。2016年 New York Ashok Jain Gallery(TAG BOAT Independent 入賞者展)。 同年 おぎやはぎ矢作兼キュレーションによるYAHAGI’S SENCE展参加(テラダ倉庫 T-art gallery)。2017年 spiral take art collection 2017 蒐集衆商出展。 2018年 art formosa台北出展 。
[主な受賞歴]
2016年 第6回 東京アンテパンダン展3位入賞。同年 TAGBOAT ART FES independent 4位入賞/南口俊樹賞。2017年 TAGBOAT AWARD入選。

美術家・浅間明日美さん。彼女の作品を観て、どんな印象を抱くでしょう。可愛らしくて、シュールで、コケティッシュで、どこかとぼけてもいる。作品から漂う、なんともいえない雰囲気は、観る人を不思議と笑顔にさせてくれます。表現手法は「刺繍」。キャンバスを支持体にして、糸やラインストーン、ビーズ、スパンコールなどを用いて、作っていきます。そんな浅間さん、2016年には、現代アートを販売する「TAGBOAT」のアートフェア「Independent」において、約200名の現代アーティストの中から、ギャラリー審査員により上位5名に選ばれた実力者でもあります。そして現在も、精力的に創作活動を行い、個展や展覧会なども頻繁に開催しています。今回は、2018年にグループ展に参加した、東京・銀座にある「GALLERY ART PONT」にお邪魔してお話を伺いました。

 

 

 “大好きだった絵を封印していた大学時代。でも絵に対する想いを抑えることはできませんでした。”

―絵はいつから描いていたのですか?

絵は小さい頃から大好きでした。小中学生の頃は暇さえあれば絵を描いているような子で、高校生の時には、美大に進みたいと思っていたんです。でも親の猛反対にあってしまって……。結局、私が折れて、埼玉にある文系の大学に進学することに。大学在籍時は、あんなに好きだったはずの絵も、描くことにフタをしていましたね。どうすればいいのかわからなくなっていたんだと思います。

大学卒業後の進路も、父には公務員になれと言われて、試験を受けたのですが、ギリギリのラインで落ちてしまいました。もう1年勉強して再度試験を受けるか悩んでいた時に、たまたま雑誌『ダヴィンチ』を読んでいたら、本棚を1名様にプレゼントという懸賞に目が止まりました。「もし本棚が当たったら、公務員試験の参考書は全部捨てて、本棚に好きな作家さんの画集を収めよう」と、ふと、思ったんです。それで、応募したら、当たってしまって(笑)。そこで、親のレールからは外れて、好きな絵に対してもう一度向き合おうと決心しました。

―運命的な出来事ですね。そこから絵の勉強をスタートさせるのですか?

はい。大学を卒業後にセツモードセミナーという専門学校に入学し、イラストレーションの勉強をしました。ただそこは、一方的に先生が生徒に教えるような教育方針ではなく、先生も一緒にデッサンをしたりして、それを見ながら盗めるところは盗むといった自主性を大切にする授業が多くて、とても刺激的でしたし、何より、絵を描く楽しさを思い出させてくれた場所でした。やっぱり絵を描いている時間が、一番私らしいと再確認できたんです。

“専門学校卒業後はイラストレーターに。でも伸び悩みを感じていました。”

―専門学校卒業後は、どうされたのですか?

イラストレーターとして食べていきたいという思いが強かったので、デザイン事務所でアルバイトをしながら、知人の紹介でイラストや装丁のお仕事を受けたり、時間がある時は出版社に売り込みに行ったりしていました。でも売り込みはあんまり手応えがなくて、20代は伸び悩んでいた時期ですね。

また、ちょうど結婚して出産した時期でもあったので、このまま続けていても家族に迷惑をかけてしまうのではないかと思い、もう絵はやめて正社員として普通に就職しようとも考えたんです。でもある方に相談したら「絶対に絵は続けたほうがいい」と言っていただいて、アート作品を、あるコンペに出してみたら、とても手応えがあったんですよね。そこから奮起して、作家活動に力を入れるようになっていきました。35歳前後でしょうか。

 

“「刺繍」と出合ってから、作家としての「私」が本格的にスタートしました。”

―もともと「刺繍」という表現手法で作品を作られていたのですか?

いえ。最初はコラージュとドローイングでした。でも子どもが生まれてから、絵の具だと乾くまでに子どもに邪魔されてしまったり、上から落書きされてしまったりと、なかなか思うように作品ができなくて……。試行錯誤を繰り返すうちに「刺繍」という表現手法にたどり着きました。

針と糸さえあれば、子どもがトイレでふんばっている待ち時間や、ご飯をもぐもぐ食べてくれているちょっとした空き時間にチクチクと制作できるので、私の生活スタイルにすごく合っていたんです。あとは、子どものおかげで、絵の画材といえば「絵の具」といった、固定概念を外すことができて、表現する上での自由度が増えた気がしています。

―作品の方向性は作りながら考えていくのでしょうか?

私、ネタ帳みたいなものがあるので、そこから、どんなテーマにするかは決めていきます。手を動かす前に、作品のゴールを見据えたら、あとはとにかく定着に向けて、職人のようにコツコツ縫っていきます。縫っている最中に迷うことはほとんどありませんね。

 

“ネガティブな感情の時は、絶対に作りません。作品に伝わってしまうから。”

―創作する上で意識されていることはありますか?

自分が怒っている時やイライラしている時は、絶対に作らないようにしています。負の感情を抱えたまま創作してしまうと、作品にマイナスなチカラが宿ってしまうんですよね。少し話が逸れますが、子育ての本でも、どんなにカラダに良いオーガニック食材を使って料理をしても、お母さんがイライライしていたら美味しいものはできないと書いてあるんです。私は絵にも同じことが言えると思っています。

ですから、なるべく規則正しく生活し、心とカラダを健康な状態に保つように心がけていますし、朝起きたら、お日様の光を浴びて「よし!」と気合いを入れて、プラスの感情にしてから、絵と向き合うようにしています。家に花が飾ってあるとウキウキするのと一緒で、私の絵が家にあることで元気になってくれるような作品を目指しています。

―他にもありますか?

頑張りすぎないということでしょうか。「頑張る」というのは「我を張る」という意味があると聞いたことがあります。売れたいとか、買ってほしいとか、そういう気持ちが強すぎるあいだは、我を張りすぎていて、本来の力が発揮できないらしいんです。私、その話を知った時、とても腑に落ちたんです。

もちろん売れるための営業活動や創作に尽力するのは大切だと思うのですが、力が入りすぎていると、手をぐっと握っていますよね。でも執着心などの邪念を捨てて、直感を信じてリラックスすると、いつの間にか手がパッとひらいて、そのひらいた手をとってくれる人が必ず現れるんですよね。

“「この人に買われるために、売れ残っていたんだ」。そう思えるような運命的な出会いが嬉しいんです。”

―作家としてのやりがいはなんでしょうか?

個展をしても思うように絵が売れない時はやっぱり残念なのですが、買い手がつかなかった絵も、次に個展をすると、すんなり売れることがあるんです。それで、買っていただいた方を見ると、なんだか、その絵とすごくお似合いで、「この人に買われるためにこの絵は売れ残っていたんだ」と思うようなことが度々あるんですよね。そんな「絵」と「人」との運命的な出会いを、この目で目撃した時は、本当に幸せな気持ちになりますね。

“国や地域は関係ない。作品を通して、いろんな人の感情をプラスの方向に揺さぶっていきたいです。”

―これからはどんな活動をされていきますか?

2016年にアメリカ・ニューヨークで、さらに今年に入ってからは、台湾で展示をさせていただく機会がありました。日本以外で自分の作品を展示するという、ひとつの目標が叶えられたことで、海外に対するハードルが低くなったような気がします。もちろん、まだまだ日本でも知っていただきたいですが、いろんな国や地域の人々に、私の作品を見ていただき、何かを感じてもらえたら嬉しいですね。

来年(2019年)の7月には今回の取材場所として選ばせていただいたギャラリー「GALLERY ART PONT」さん主催でフランス・パリのポンピドゥセンター近くのギャラリーで、作品が展示されることも決まりました。どんな出会いが待っているか、今からわくわくしています。海外の方は、良い意味で作品に対していろんな疑問をぶつけてくれるので、こちらも考えさせられられますし、良い刺激になるんですよね。

 

◎浅間さんのWEBサイトはこちら

 

浅間 明日美さんが対応可能な
お仕事はこちら!

  • 作品のご購入
  • グッズのご購入
  • 広告や雑誌、装丁などにおいてのイラストのご依頼

この人に「仕事を頼みたい」